株初心者にとっては、いざ株を購入しようとしてもその株価が高いのか安いのか、判断が難しいかと思われます。
チャートを見て判断するのも一つの目安ですが、ファンダメンタルズを見ながら判断することも必要となります。
そこで初心者が、株価を割安か割高かを判断する最低限覚えておきたい3つ指標を解説していきます。
知っておきたい参考指標
買おうとしてる株がチャート的には上がりそうなのだけど、割安なのか割高なのか分からないのだけど?
割安か割高かを判断する基本的な指標があるよ!
現在の株価が企業の価値に対して割安か割高なのかチャートだけ見ていても中々判断できません。
株価はチャートと企業の業績を(ファンダメンタルズ)を見ながら判断することが、望ましいです。
企業のファンダメンタルズに対して今の株価の位置が割安なのか割高なのかを、判断する指標として「PER」「PBR」「ROE」を紹介していきます。
基本的な指標なので最低限覚えておくと良いです。
PERとは?
PERとは株価収益率という指標で、現在の株価が企業の業績に対して割安か割高を判断する指標を言います。
具体的には、1株当たりの利益が何倍まで買われた水準かを見るモノサシみたいなものです。
例えば株価が1000円で1株当たりの純利益が100円だとすると、「PER10倍」というように表現されます。
PER○○倍のっていう意味は何じゃらほい?
例えばPER10倍という意味は、仮に現在の業績が変わらないで毎年得られるのならば、10年で投資した額が回収できるという意味でもあります。
必ず回収できるということではなく、指標的に何年分で回収できる株価の位置ですよってこと!
割安と割高の判断
PERが低いほど、短い間で投資額が回収できる意味合いになるので割安ということになります。
しかし株価は現在の業績でなく、将来の企業の業績の期待も反映するので、成長力がある企業ほどPERが高くなる傾向もあります。
業種によってもPERの水準が違うので一概の何倍だから割安という判断はしづらい部分もあります。なので比較するなら同業種で比べて判断する必要があります。
成長性がありながらPERが10倍台で推移しているならば、割安と言えるかもしれません。
PERの計算式
計算式は以下のようになります。
1株利益=EPSとは?
1株純利益のことをEPSと言います。EPSは当期の純利益を自社株を含まない発行株数で割ったものです。
例えば当期純利益が100万円で、総発行株数が12万株で自社株が2万株だった場合、自社株を含まない株数は10万株となります。
なので100万円÷10万円=10円がEPSとなります。
引用:任天堂2020年3月決算資料より作成(2021年3月期予想)
PERまとめ
PERは割安か割高か判断する指標ではありますが、絶対的にこの数字が割安という明確なラインがありませんので、業種や同じ業態の企業と比べて判断することになります。
業績が停滞していても、PERが低いからといって必ず優良銘柄とも限りません。PERが低かったとしても、成長性がないと判断されて上がらない銘柄もあります。
逆PERが高くても上昇し続ける株もあります。それは将来の成長性を加味して株価が反映しているからです。
有名なAmazonは売上げに対して利益はほとんど出していなくても株価は上昇しています。
PERが低く割安と判断するだけではダメな場合もあるのね!
株価は将来を織り込みながら形成されるので、成長性も加味してPERの指標を参考に探していくことがポイントだね!
投資では、本来の企業価値より安い値段で購入できれば成功する確率が高くなります。長期で見れば割安な銘柄ほど、上昇率が高いことも事実です。
PBRとは?
PBRとは株価純資産倍率という指標で、現在の株価が企業の純資産価値に対して割安か割高か判断する指標を言います。
具体的には、1株あたりの純資産が何倍まで買われた水準かを見るモノサシみたいなものです。
PERは業績、PBRは資産価値と比較するモノサシ!
純資産価値とは?
純資産価値とは、企業の資産から負債を引いたものです。簡単に言うと純粋に企業にとってプラスで残る資産のことになります。
割安と割高の判断
PBRは1倍が一つ目安となります。PBR1倍という意味は、現在の株価と1株純資産が同じという意味になります。
1倍より上ならば、1株当たりの企業の純資産より株価が高いことを意味します。企業の資産価値だけの面でみれば、割高という傾向になります。
逆に1倍を割れた場合は、1株当たりの企業の純資産が株価が低いことを意味します。企業の資産価値だけの面でみれば割安という傾向になります。
株価は将来の付加価値を織り込んで動くので、PBRが1倍割れで割安と判断したとしても、業績が伴っていないと株価は低迷する可能性があります。
ベンチャー企業などですとまだ財務基盤が脆弱なため、純資産が少ないことが多いのでPBRが高めになりがちです。一概にPBRが高いからといって株価が割高と判断するわけにもいきません。
PBRの計算式
計算式は以下のようになります。
PBRの指標は暴落時に使え!
個別企業に対してはPBRは無視しても良いとまでは言いませんが、あまり割安割高の判断材料になりづらいです。
PBRをみて割安か割高かを判断する時は、日経平均が暴落した時など、全体的な視野でPBRをみて底値を探る指標としてなら良いかもしれません。
出典:投資の森より
左軸のPBRの値を見ると、PBRが1倍付近もしくは1倍割れの近辺で株価が底値圏にあるのが分かります。
株価が暴落するときは、将来の業績悪化懸念で売られることがあります。PERでみて割安かを判断するのも一つの手ですが、業績悪化懸念の状況下ですとPERでみて割安かどうか判断しづらいこともあります。
そんな時に日経平均全体のPBRをみて買うタイミングを判断します。PBRが1倍割れということは、仮に日経平均全体の企業が解散したときに、1株当たりの資産額でいうと株価が安いことを意味します。
つまり簡単にいうと、株価がPBRが1倍割れの水準は、日経平均全体の企業が解散すれば、投資した株価よりも多く資産を配分してくれることになります。
日経平均全体のPBR1倍割れは大チャンスということになります!
PBRまとめ
PBRは資産価値の面から判断する指標になります。資産価値と業績を比べた時に、株価に大きく反映されるのは業績の動向になります。
なのでPBRは無視しても良いということではありませんが、あまり割安、割高の判断の指標としてみても重要性は低いかもしれません。
だた株価が暴落した時に、日経平均全体の株価の底値を探る指標として使うのをオススメします。
ROEとは?
ROEとは自己資本利益率のことを言います。その企業が自己の資本に対してどれくらい利益を出しているか見る指標になります。
投資家から見ればお金を企業に出資しているので、自分達が投資したお金に対して何割の利益を出しているか見る指標なので、機関投資家の間でもこの指標を重要視しています。
自己資本とは?
自己資本は「純資産-新株予約権-少数株主分」のことを指します。
簡単に言うと、返す必要がないお金が自己資本になります。返す必要がないお金とは、「株主から出資してもらったお金」や、「資本金」、「企業がこれまでに稼いだ利益」のことを指します。
自己資本=純資産と思っておいてOK!
ROEの計算式
計算式は以下のようになります。
ROEの水準
中長期的に望ましいROE水準は投資家の中では、10%以上が望ましいとしています。日本の企業全体では5~10%くらいの水準の企業が多いです。
出典:金融庁資料より
ROEは二桁以上であれば優良な企業と言えるかもしれません。高ければ高いほど価値がある会社と判断される傾向にあります。
ROEの注意点
ROEの指標を見るときにいくつか注意点あります。ROEの計算上、利益が分子で自己資本が分母によって計算されます。利益が上がるか、自己資本が減ればROEが高くなります。
財務状況も加味して判断
ただ単にROEが高いだけで、投資価値があると判断できるか、極端な例ですが次の2社の場合を比べてみます。
例えばA社が他人資本(借入金)80億円と自己資本20億円で利益が20億円、B社が他人資本(借入金)20億円で自己資本80億のみで利益が20億の場合、ROEで見たときA社が100%、B社が25%となります。
同じ利益ですが、ROEだけ比較するとA社のほうが高いので投資価値があると判断できそうですが、財務状況の観点も入れてみるとB社が優良だと判断する投資家もいるでしょう。
同じ利益であるなら、投資する立場からすれば他人資本(借入金)が少ない方が、健全性が高くなり投資価値が高いという判断材料にもなります。
このように単純にROEが高いだけで、投資価値ありとの判断しづらい面もある!
ROEの数値が異常に高い場合は、自己資本が少なく借入れ金が多い場合もあるので、ただ数値を見るだけで投資判断をするのではなく、他人資本と自己資本の財務状況のバランスを見ながら判断したほうが良いでしょう。
自社株買いでROEが上昇?
企業が自社の株式を買うことを自社株買いと言います。自社株買いをすることによって自己資本が減少するためROEが上昇する要因となります。
何故自己資本が減少するの?
自社株買いした分は会計上、自己資本から除くことになっているんだ!
このように自社株買いをすることで自己資本が減少しますのでROEが高まることになります。
企業としては、投資家達がROEを意識している側面もありますので、ROEの向上へ繋げる一つの手段として自社株買いを使います。
ROEまとめ
ROEは企業が株主達から集めた資本(お金)に対して、どのくらいの利益を出しているかを見る指標でもありますので、機関投資家が重要視する指標です。
※勘違いしやすいのは、日々取引している株価に対してではなく、企業が株を売って株主が出資してくれた資本に対して効率的に利益を出しているかです。
ROEは財務(自己資本)と利益の関係だから、日々の株価が変動しても変わらない
自己資本が少ない中で利益を出すとROEは高まりますが、自己資本が少ないということは、他人資本(借入金)が多いとも言えます。
ただ単にROEランキングを見て上位のが良いって判断するのはあかんってことね!
なのでROEの数値だけでなく、財務状況のバランスをみながら投資価値があるか判断する必要があります。
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