国民健康保険料っていくら?計算の仕方を解説

税・年金・保険

国民健康保険の加入者の主な人は自営業者や無職の人や、会社で社会保険に加入していない人などが加入する公的医療保険です。

社会保険と違って天引きされないので、納付書をみてビックリする方も少なくないと思います。

ここでは国民健康保険に分かりやすく計算の仕方を解説していきます。

※税制改正により令和3年度分より変更となる部分(給与控除、基礎控除等)がありますが、ここでは令和2年度までの方式で解説します。

記事の内容

・国民健康保険とは?
・国民健康保険の計算の仕方
・市町村別での保険料試算

国民健康保険とは?

国民健康保険とは、自営業者や無職な人、会社で社会保険(健康保険)に加入してない人が加入する公的保険のことです。

※75歳以上は後期高齢者医療制度

ぷんた号
ぷんた号

先進国の中でも日本の公的保険制度は最高峰!

扶養という概念はない

よくある勘違いですが国民健康保険には扶養という概念がないので、加入者全員が被保険者となり全員が保険料を支払うということになります。

例え所得がゼロだとしても、所得に関する部分はかかりませんが、均等割といった所得に関係なく支払う部分もありますので注意が必要です。

※所得によって減免措置があったりします。

運営は都道府県と市町村

2018年度からは原則として都道府県と市町村で運営することになりました。

市町村によっては年齢構成が高く医療費水準が高かったり、所得水準が低く保険料の負担が重かったりと隔たりが出て、財政基盤が弱く制度運営が困難が市町村もあるという課題から都道府県と市町村の共同で運営することになりました。

ぷんた号
ぷんた号

最終的に県内加入者の負担が公平になっていきます。

例えば同じ県でも市町村で保険料が所得が同じでもバラバラになっていると、加入者の負担が公平ではないため、同じ県であればどこの市町村でも同じような負担率になっていきます。

出典:厚生労働省資料より作成

ザックリ言うと都道府県から交付されたお金を市町村が保険料を徴収して同じ額を返すって流れですね。

国民健康保険料の算出の仕方

国民健康保険料は前年の所得、市町村によって保険料率によって金額が変わってきます。市町村によっては高齢者が多く医療費が多くかかってしまう地域などは保険料が高くなる傾向があります。

国民健康保険は年度で区切られるので4月~翌年の3月までの期間を区切りとしています。

例えば前年の所得に反映される保険料は6月に決定し、10回に分けて納付することになります。

ぷーちゃん
ぷーちゃん

1年は12ヶ月あるのになんで10回納付なの?

ぷんた号
ぷんた号

住民税と同じ6月に決定するから4,5月分は決定したあとに10回納付に均等にのってくるのですよ!

例えば2020年度の保険料は以下のようなスケジュールで決まります。

例えば2020年度(2020年4月~2021年3月)の保険料は、2019年の1月~12月の所得に対して決まってきます。

2020年度の保険料が決まるのが6月で、10回に分けて納付します。保険料が決まるのが6月なため4,5月分が徴収されていません。

その部分を10回分に均等上乗せして納付します。

3つの区分から構成されている

国民健康保険料は医療分、支援分、介護分の3つの区分から構成されています。

※介護分に関しては40歳~65歳の人のみ

3つの区分からそれぞれ所得割、均等割り、平等割を算出します。

所得割・・・所得に応じて変動する部分で保険料率を掛けて払う部分。

保険料率は医療分、支援分、介護分で異なります。

保険料率自体も毎年度ごとに算出するので異なります。

均等割・・・加入する人数に合わせて払う部分

平等割・・・1世帯当たり払う部分

図解で表しますと・・・

※市町村によってはこの他に資産割があったり平等割をなくす代わりに均等割りに上乗せする方式を取るところもある。

計算のステップ

◇ステップ1◇

賦課基準額を算出する。まずは所得を出しましょう。給与だけもらっている人は年収から給与控除を引きます。

算出した所得から住民税基礎控除額の33万を引いた額が賦課基準額となります。

※税制改正により住民税基礎控除は33万から43万に変更なりますが、ここでは令和2年度までの方式で解説します。

賦課基準額

賦課基準額=所得-33万(住民税基礎控除額)

◇ステップ2◇

医療分、支援分、介護分の部分をそれぞれ算出します。

医療分

・所得割=賦課基準額×保険料率(%)
・均等割=加入人数×均等割額
・平等割=平等割額

支援分

・所得割=賦課基準額×保険料率(%)
・均等割=加入人数×均等割額
・平等割=平等割額

介護分(40歳~64歳までの人のみ)

・所得割=賦課基準額×保険料率(%)
・均等割=加入人数×均等割額
・平等割=平等割額

◇ステップ3◇

医療分、支援分、介護の算出したのをを合計すれば保険料の額になります。

神奈川県の市町村の保険料率

神奈川県の各市町村の保険料率を見ていきましょう。

出典:神奈川県 令和2年度神奈川県の市町村における国民結構保険料率の状況

出典:神奈川県 令和2年度神奈川県の市町村における国民結構保険料率の状況

ぷーちゃん
ぷーちゃん

保険料率が高いところはその分、均等割や平等割が低かったりするのね

ぷんた号
ぷんた号

計算してみないとどこの市町村が高いか分かりづらいねw

実際に計算してみよう

同じ条件で横浜市と小田原市で比較してみましょう。1人の場合、夫婦のみの場合で国民健康保険に加入した場合で計算してみます。

※令和2年度(2020年度)の国民健康保険料でシミュレーションします。

独身1人で加入した場合

独身で単身世帯の場合

独身:40歳
前年(2019年)の年収:400万円 (給与でもらってた場合) 
加入人数:1人
世帯数:1

まず賦課基準額から求めていきます。

400万-134万(給与控除)=266万

賦課基準額=266万-33万(住民税基礎控除額)=233万

横浜市の国民健康保険料の計算

※横浜市は所得割と均等割の2方式なので平等割がありません。その分均等割が高めになっています。

医療分

・所得割=233万円×7.22%=168226円
・均等割り=1人×34320円=34320円

医療分は168226円+34320円=202546円となります。

支援分

・所得割=233万円×2.17%=50561円
・均等割=1人×10320円=10320円

支援分は50561円+10320円=60881円となります。

介護分

・所得割=233万×2.46%=57318円
・均等割=1人×14450円=14450円

介護分は57318円+14450円=71768円となります。

横浜市の保険料

・年間の国民健康保険料=202546円+60881円+71768円=335195円

小田原市の国民健康保険の計算

医療分

・所得割=233万円×6.78%=157974円
・均等割=1人×23442円=23442円
・平等割=1世帯×19238円

医療分は15974円+23442円+19238円=200654円となります。

支援分

・所得割=233万円×2.71%=63143円
・均等割=1人×8756円=8756円
・平等割=1世帯×6910円=6910円

支援分は63143円+8756円+6910円=78809円となります。

介護分

・所得割=233万×2.64%=61512円
・均等割=1人×9876円=9876円
・平等割=1世帯×5883円=5883円

介護分は61512円+9876円+5883円=77271円となります。

小田原市の保険料

・年間の国民健康保険料=200654円+78809円+79271円=356734円

横浜市と小田原市の比較結果

同じ条件で比較した場合、横浜市は335195円で小田原市は356734円となり小田原市のほう高いという結果になりました。

※仮に年齢が40歳未満の場合ですと介護分はありません。

夫婦で加入した場合

夫婦で加入した場合

夫:40歳 妻:36歳
夫:前年(2019年)の年収400万円 (給与でもらっていた場合)
妻:前年(2019年)の年収150万円 (給与でもらっていた場合)
加入人数:2人
世帯数:1

◇夫の賦課基準額◇

400万-134万(給与控除)=266万

賦課基準額=266万-33万(住民税基礎控除額)=233万

◇妻の賦課基準額◇

200万-78万(給与控除)=122万

賦課基準額=122万-33万(住民税基礎控除額)=89万

横浜市の国民健康保険料の計算

医療分

・所得割=(233万+89万)×7.22%=232484円
・均等割=2×34320円=68640円

医療分は232484円+68640円=301124円となります。

支援分

・所得割=(233万+89万)×2.17%=68874円
・均等割=2人×10320円=20640円

支援分は68874円+20640円=89514円となります。

介護分(夫のみ)

・所得割=233万×2.46%=57318円
・均等割=1人×14450円=14450円

介護分は57318円+14450円=71768円となります。

横浜市の保険料

・年間の国民健康保険料=301124円+89514円+71768円=462406円

小田原市の国民健康保険料の計算

医療分

・所得割=(233万+89万)×6.78%=218316円
・均等割=2人×23442円=46884円
・平等割=1世帯×19238円=19238円

医療分は218316円+46884円+19238円=284438円となります。

支援分

・所得割=(233万+89万)×2.71%=87262円
・均等割=2人×8756円=17512円
・平等割=1世帯×6910円=13820円

支援分は87262円+17512円+13820円=118594円となります。

介護分(夫のみ)

・所得割=233万×2.64%=61512円
・均等割=1人×9876円=9876円
・平等割=1世帯×5883円=5883円

介護分は61512円+9876円+5883円=77271円となります。

小田原市の保険料

・年間の国民健康保険料=284438円+118594円+77271円=480303円

横浜市と小田原市の比較結0

同じ条件で比較した場合、横浜市は462406円で小田原市は480303円となり小田原市のほう高いという結果になりました。

横浜市と小田原市の比較表

まとめ

・市町村によって保険料が変わってくるが、最終的には県内ならどこも同じ保険料になる
・前年の所得によって計算されるので、ザックリとした額を想定できるようにしておくこと
・国民健康保険は医療分、支援分、介護分の3つの区分から構成されている
・住んでいる市町村によって同じ所得でも年間で数万円保険料が変わることがある

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