所得が高ければ税金が高くなるというのは耳にしたことがあると思います。
所得税は所得が多ければ税率が高く、所得が低ければ税率が低い超過累進課税制度です。
では具体的にどのような仕組みで税率が変化するのか図解で分かりやすく解説していきます。
【図解でみる】所得税率
所得税は課税所得に課税される税金です。課税所得の額がある一定の額を超えると税率が変わってきます。
出典:国税庁ホームページより
所得税率は下は5%で上は45%までとなっています。一般的な平均サラリーマンの年収からすると社会保険、扶養人数にもよりますが、だいたい所得税率は5~10%の範囲に収まります。
あれれ?何で20%の次は謎の3%刻みの23%なの??
23%の課税所得の範囲を給与だけで考慮すると・・・ザックリで言うと年収900万~1100万の人だね!
ちなみに地方議員の年収はだいたい1000万前後です。もはやこれ以上は言わなくても察することができるでしょう。法律を決めるのは議員さん達ですから・・・。
課税所得が4000万以上の部分は45%となっており、住民税の一律10%を加えるとほぼ半分税金に持っていかれることになります。
勘違いしやすい所得税率の見方
所得税率は一定の所得を超えたら税率が変わるため、税率の見方を勘違いしやすいポイントを解説していきます。
勘違いしてしまう見方として、例えば課税所得が200万になってしまうと10%の所得税率になってしまうので195万を超えないようにしようという考えです。
10%の税率になってしまうから5%の税率に収めようとすること?
そう!その考え方は間違いですね!
この間違いは課税所得が200万だとしても200万全部に10%の税率が課税されるわけではなく、195万以上の部分が10%ということになります。
従ってもし200万の課税所得があるならば、195万以上の5万の部分に10%で残りの195万の部分に5%課税されるということになります。
上図の例で言うと、課税所得200万全部に10%が課税されるのではなく、200万のうちの195万に5%課税、残りの5万に10%課税されるのが正解です。
200万の課税所得に対しての所得税は(195万×5%)+(5万×10%)=102500円となります。
このように195万の部分に5%を掛けて、5万の部分に10%を掛けてそれを足していけば良いのですが、もっと簡単に計算することができます。
簡単に所得税率を計算する方法
上図の所得税の速算表から簡単に所得税計算ができます。
例えば課税所得が400万だったとしたら、税率20%を掛けた後に控除額427500円を引きます。
速算表の控除額の意味
課税所得に税率を掛けてしまうと、全部の所得に税率が掛かってることになります。それでは税率の少ない区分の所得にも高い税率が掛かってしまうためその分を控除する必要があります。
速算表の控除額を引けば簡単に計算できる仕組みになっています。この控除額は何故この額になるかを図解で解説していきます。
※課税所得が400万だった場合を例にしていきます。
まず400万に税率20%を掛けます。すると税率の5%の部分、10%の部分にも20%掛けてしまっていることになります。
そうすると5%部分には15%余分に、10%の部分には10%余分に税率が掛けられていることになります。
余分に掛けられている分を引かなくてはなりません。
それぞれ余分を計算すると・・・
195万×15%=292500円・・・①
(330万-195万)×10%=135000円・・・②
①+②=427500円引けば良いことになります。
この427500円が速算表の右側の控除の意味になります。
余分な部分をいちいち計算しなくても速算表の控除額を引けば簡単に計算できます。
超過累進課税の特徴
所得が低ければ税率が低く、所得が高ければ税率が高いという累進課税の特徴は主に二つあります。
◇富の再分配◇
高所得者から税を多く取り、社会保障や公共事業などを通して低所得者への所得移転を目的としたものです。
◇ビルト・イン・スタビライザー◇
ビルトインスタビライザーとは簡単に言うと景気の自動安定化装置です。景気が良くなれば所得が増えます。増えれば購買力が拡大してインフレが起きます。
所得税は累進課税なので所得が上がれば税金も高くなります。税金が高くなれば購買力の抑止力になります。
購買力が抑制されればインフレも抑制されます。
また逆に不景気になれば所得が下がれば税金も安くなるので、購買力の落ち込みを抑える効果もあります。
このように好景気と不景気でも、累進課税によって経済の安定を自動化する仕組みになっています。
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