所得税には大きく分けると2つの課税方式があります。所得の金額によって税率が変わる総合課税と所得の種類によって課税を算出する分離課税があります。
確定申告をする方も、何の所得がどちらの課税方法なのか理解していた方がスムーズにできます。
給与だけの所得から複数の所得を持つ時代になってくれば、税金についても詳しくなることは必須と思われます。
では、所得の種類によってどのように課税されるか解説していきます。
所得税とは?
所得税とは所得に対して課税される税金です。では所得とは何なのか?所得とは収入から必要経費引いた額になります。
さらにその所得から所得控除を引いた額を課税所得と言います。
この課税所得に対して所得税が課せられます。
簡単な例でいうと、事業なら売上げの部分が収入でアパート経営なら家賃の部分が収入となります。そこから変動費や固定費を引いた額が所得となります。
給与には必要経費がないので給与控除というみなし経費を引いた額が所得となります。給与の収入がそのまま所得と勘違いしないように注意しましょう。
所得税は2つの課税方法
所得税の課税方法は総合課税と分離課税の2つがあります。
◇総合課税◇
複数の所得を合算し、総所得の大きさによって所得税の税率が変わっていくことを累進課税と言います。基本的には所得税はこの方式になります。
この方法で課税されるのが総合課税と言います。
稼いだら稼いだ分税金が取られるってこと?
所得の区分によって税率が変わってきます。所得税率の最高は45%です。
◇分離課税◇
また、所得の種類によって違う税率で算出する方法を分離課税と言います。また分離課税には確定申告が必要ない源泉分離課税があります。
源泉分離課税とは?
すでに税金を課税されているので確定申告がいらないってこと!
総合課税、分離課税の所得まとめ図解
所得は全部で10種類あります。総合課税か分離課税が選択する場合や、所得の内容によって課税方法が違ってくるものもあります。
継続的に所得になるものを総合課税、突発的な所得で高額なものが分離課税とイメージしておきましょう。
総合課税の所得
複数の所得を合算して課税されるのが総合課税ですが、所得によって税率が変わる累進課税になっています。
◇給与所得◇
主にサラリーマンやバイトの給与です。給与額から給与控除を引いた額が給与所得となります。
◇不動産所得◇
アパート経営などでの家賃収入が不動産所得となります。いわゆる不動産投資の所得がこれになります。
家賃収入から経費(減価償却費や修繕費など)を引いた額が不動産所得となります。
◇事業所得◇
事業の売上げから経費を引いた額が事業所得となります。自営業などの個人事業主の人達の所得がこれになります。
◇一時所得◇
満期になった保険金の所得となります。受け取り額から支払った額と特別控除(最大50万)を引いた額が一時所得となります。
◇配当所得◇
配当控除を受けるかで総合課税か分離課税かで変わってきます。
◇雑所得◇
雑所得でも総合課税になりますが、一部分離課税になるものがあります。
公的年金や個人年金、講演料、フリマ、転売などで得たものは総合課税に分類する雑所得なります。仮想通貨で得た所得も総合課税の雑所得になります。
分離課税になる主な雑所得はFXや先物取引になります。
◇譲渡所得◇
土地建物、株式以外の譲渡所得が総合課税になります。例としてはゴルフの会員権や特許や商標権などが対象となります。金地金の売却益も総合課税の対象となります。
分離課税の所得
他の所得とは分けてする課税方法が分離課税ですが、源泉分離課税の場合は確定申告する必要がありません。
源泉分離課税とは、所得を受けた時点ですでに税金が引かれていて課税の処理は完結してしまっているものです。
◇利子所得◇
主に貯金の利子の所得です。その他に国債や地方債などの利子による所得です。ほとんどが源泉分離課税なので確定申告する必要はありません。
税率は所得税は一律15.315%、地方税は5%となっており、利子を受ける際にはすでにこの税率が引かれています。
例)1000万の預金で1%の金利であるなら10万円の利子所得になります。利子を受け取る際にはすでに税率20.315%が引かれた状態の額面を受け取ることになります。
◇退職所得◇
退職金をもらう際に会社で「退職所得の受給に関する申告書」を提出している人は基本的に源泉徴収されるため確定申告の必要がありません。
しかし、提出していないと退職金額に対して一律20.42%の所得税がかかります。
提出していない人は、退職控除等がなされずに一律20%取られますので、確定申告した方が税金が安くなるので必ず確定申告しましょう。
この税率は退職金の所得だけでみた税率です。例えば退職所得が300万だった場合以下の表から税率の部分は10%の区分にとなります。
出典:国税庁ホームページより
◇山林所得◇
山林を伐採、または伐採せずに譲渡した場合の所得を山林所得と言います。土地ではなく立木の所得のイメージです。
この税率は山林所得だけでみた税率です。例えば山林所得が150万だった場合以下の表から税率の部分は5%となります。
出典:国税庁ホームページより
◇配当所得◇
配当控除を使わず、損益通算を使うというならば分離課税になります。配当所得も源泉分離課税さていれば確定申告の必要はありません。
配当所得の税率は一律、所得税15.315%、地方税5%の合わせて20.315%となります。
◇雑所得◇
基本的には雑所得は総合課税なのですが、FXや先物取引の所得は申告分離課税となっています。
税率は一律、所得税15.315%地方税5%の合わせて20.315%となります。
株式と同じような性質の所得だから確定申告が必要ないと勘違いしてしまっている人がいるので注意しましょう。FXは原則が確定申告が必要なので知っておきましょう!
※ただし20万以下なら必要なし
◇譲渡所得◇
分離課税での譲渡所得には主に土地建物、株式での所得です。
株式については一律、所得税15.315%地方税5%の合わせて20.315%となります。
土地建物に関しての所得については、短期と長期で税率が変わってきます。
短期・・・保有期間が5年以下だと、所得税30%地方税9%の合わせて39%の税率となります。
長期・・・保有期間が5年超だと、所得税15%と地方税5%の合わせた20%の税率になります。
※マイホーム売却の場合の特例
自宅を売却して譲渡所得を得た場合には特例の控除が3000万あります。
マイホーム売却する場合はほとんど税金がかからない
売った額から取得費と経費を引いた額が譲渡所得となるので、マイホームを売却して課税されることはレアケースと言えます。
損益通算できる所得
損益通算できる所得は4つあります。不動産所得、事業所得、山林所得、譲渡所得があります。
有名な覚え方として「ふ」「じ」「さん」「じょう」富士山上という覚え方もあります。
◇損益通算とは?◇
損益通算とは赤字となった場合に他の所得とが差し引くことを言います。赤字になった所得でも損益通算できないものもありますので、赤字=損益通算できる所得ではありません。
よくある例では不動産所得で赤字が出た場合に、給与所得から赤字分を差し引くパターンです。サラリーマンをしながら不動産投資をしている人がこれに該当します。
赤字分を差し引くメリットは何じゃ?
赤字分を差し引くことで所得が減るので、税金が安くなるのだよ!
このように節税にも繋がるので損益通算できる所得は知っておきましょう!
しかし節税だけを意識しすぎて赤字を出すことに専念するのは本末転倒になることもあるので注意しましょう。
◇株式、FX等の損益通算◇
分離課税である株式やFX等(先物取引)は仲間同士なら損益通算できます。
例えばAの株が損失100万でBの株で損益200万が出た場合、Bの株の損益の200万からAの株の損失分の100万を差し引くことができます。
株式とFXとでは損益通算はできません。
例えばAの株で損失100万でFXで損益200万が出た場合、FXの損益200万からA株の損失分の100万を差し引くことはできません。
まとめ
・総合課税は合算した所得に対しての税率が決まる
・分離課税は所得によって個別に課税される
・損益通算ができる所得は4つ、「ふ」「じ」「さん」「じょう」
・損益通算によって節税できることもある
・所得によってどう課税されるのか知っておくことで税金の不安を減らせます
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