国の経済規模を示す指標としてGDP(国内総生産)というのがあります。経済規模といっても一体何を示しているのか?
小さいころ学校では何となく習ったと思いますが、GDPは経済の知識において基本とも言えるので大人になって今一度GDPとは何なのか学んでみましょう。
GDPとは?
GDPとは一定期間内に国内で生み出された「付加価値」の合計です。国内総生産とも言われている。
国内で生産によって生み出された付加価値なので、例え日本企業が海外で生産によるものは含まないことになる。
海外で活躍している日本人のスポーツ選手が生み出した付加価値もGDPには含めません。
そもそも付加価値って何?
付加価値って何のこと?
元々ついている既存価値の商品やサービスに新たに付け加える価値のことをいいます。
粗利益=付加価値とも言えます。
売上-原価=粗利益となり、この粗利益が原価から生み出した付加価値ということです。
簡単な図解で説明すると下の図のような形になります。
農家の人がジャガイモを生産して30円で加工・卸業者に販売したとします。この時点で農家さんは原価がかかってないので30円の粗利益を得ます。
加工・卸業者は仕入れたジャガイモを50円で小売店に販売したとします。この時点で加工・卸業者は、仕入れた原価(30円)を引いた20円の粗利益を得ます。
小売店は仕入れたジャガイモを消費者に100円で販売したとします。この時点で小売店は、仕入れた原価(50円)を引いた50円の粗利益を得ます。
この粗利益の合計の100円が付加価値となるわけです。
消費者が払った額と付加価値が同じになるってこと?
うむ!付加価値の対価としてお金を支出してるってことだからね!
三面等価の原則
GDPには支出=所得=付加価値ということが成り立ちます。
これを三面等価の原則といいます。
付加価値に支出した額が同じになるのは、先述したとおり付加価値の対価として支出が同じになるわけですが、その支出した額はイコール所得とも言えるわけです。
それぞれ英字で表現すると以下のようになります。
この3つがすべてイコールになるということです!
誰かの支出は誰かの所得になるわけです。
3つの面がすべて等しくなるということは支出面の部分を調べれば、GDPが算出できるわけです。実際ニュースなどのGDPは支出面のGDEのことです。
GDE=GDPなのでGDPと表しても同じことになるわけです。
支出面のGDP算出方法
支出の総額がGDPになるわけですが、その支出の内訳がどうなっているのか見ていきましょう。
◇民間消費◇
これは国民が最終的に消費したもの、「食料」や「衣服」や「家賃」など家計で消費する部分です。最終的な消費なので、企業が物やサービスを生産するために消費したものはこれには含まれません。
仕入れた原料の消費はカウントしないことになります。
◇民間企業投資◇
企業において生産するための設備投資の部分です。いわゆる機械や工場といったものです。
また企業における売れ残りや売り切れを防ぐ在庫も投資という位置づけになります。
消費者においても長期間において使用するものとして住宅があります。この住宅において投資という部類になります。
◇政府支出◇
政府は公的サービスの生産者でもあります。公務員の人件費や公共サービス、公共事業のなどが政府の支出にあたります。
◇純輸出◇
日本で生産されたサービスや物が外国によって支出されます。日本国内で付加価値の生産ということになる輸出から、国外で生産された輸入を差し引いたのが純輸出となります。
ということは消費者の支出が下がるとGDPも下がる?
GDPの統計上、必ずしもそうならない時があるよ!
消費が減れば景気が悪くなるイメージはつくと思いますが、GDPの統計の算出方法のからくりによって、消費が落ち込んでもGDPがプラスに作用することがあります。
消費がマイナスでもGDPが上がる?
GDPは内需と外需の部分で構成されています。内需の部分とは民間消費、企業投資、政府支出で外需の部分は純輸出になります。
純輸出=輸出-輸入になりますので、輸出と輸入の差がでるとGDPの変動に大きく左右される場合があります。
◇GDPの中身を見て判断◇
内需が弱くても外需が要因でGDPが上がるパターンとしては、輸入が大幅に減少した時があります。
例え内需が弱くても、このように輸入の減少幅によってはGDPを押し上げる要因となってしまうことがあります。
肌間では景気が悪そうなのに、GDP成長率が上がってしまう場合があるよ!
名目GDPと実質GDP
GDPの数値をニュースで見たときに名目GDPと実質GDPで両方発表されるのですが、この違いは何なのでしょうか?
名目と実質の違いを理解をしておくと、価値と値段についても違いにも気づけるようになります。
◇名目とは?◇
名目とは額面のことを言います。いわゆるただの数字上のことです。
◇実質とは?◇
物価の変動を除いた値のことを言います。物価の変動で名目の数字が変わると本当意味での価値がわからなくなるので、物価の変動を考慮しない値のことです。
ちょっと難しいです・・・・。
世界では実質GDPを重要視しています。物価の変動によって数字が変わってしまうので、その影響を除いた本当の生産価値が反映されやすいからです。
名目と実質の例え話
例えば、昨年ポテトフライを100円で10個販売したとします。そうすると1000円の所得となります。
今年は物価が上がり120円で10個販売しました。所得は1200円となります。
この結果を「名目で20%上昇」と言います。
実質の値は物価の変動分を除くので・・・物価は100円から120円の20%上昇しています。この20%上昇分を除いた値が「実質」となります。
となると、変動した20円分は除くので100円×10個=1000円となります。
ということは「名目では20%上昇したけど、実質では0%(変わらなかった)」ということになります。
これを実質と名目のGDPの計算式にいれてみると・・・?
名目(1200円)÷物価指数(120%)=実質(1000円)ということになります。
実質の本当に意味とは?
では、今年ポテトフライを110円で12個販売した時の名目と実質の増減はどうなるでしょうか?
110×12=1320円!名目は32%増ってことだね!
正解!では実質はどうでしょうか?実質は物価変動を除くとなるので、販売個数をみれば秒殺で増減が計算できるのです。
10個から12個に増えているので実質は20%増ということになります。
図表でみる名目と実質のパターン
物価の変動と販売個数の変動による名目GDPと実質GDPの経済成長率を図で表してみました。
※それぞれ20%変動した場合
物価が上昇すれば実質より名目が高くなります。逆に物価が下落した場合は名目より実質が高くなる関係にあります。
実質GDPの成長率がプラスといっても、名目ではマイナスになることもあります。名目と実質の関係を理解してないと、ニュースで実質GDPプラス報道を見てしまうと、景気が回復していると誤解してしまうことになります。
実質プラスでも名目でマイナスということは所得の金額が下がっているので、消費者としては景気が上向いている感覚がないかもしれません。
実際消費者としては、金額の額面が増えたほうが景気が良いと感じる人が多いかもしれません。
例えば名目で大幅にプラスになったとしも実質で0%成長だったら?
0%成長ってことは個数は変わらないから、ただ物価が上がって額面が増えた!
ということは、本当の意味での生産の価値は変わってないということになります。
このように、実際に経済の中身が見れるようになります。
まとめ
・GDPは国内で生み出された付加価値の合計である
・GDPは所得=支出=付加価値となる三面等価の原則がある
・統計上のからくりで内需弱くても外需部分(輸入減少)が起因でGDPが上がる場合がある
・名目GDPは額面(数字)の金額で、実質GDPは物価変動を除いた値である
・GDPは何故そのような結果になったのか総合的に判断する必要がある
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